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フィリピンの家はなぜあんな形?地元文化と環境が作り出す住宅の特徴を解説

2023年12月21日

1. フィリピンの住宅の特徴 - 一般概要

(1) フィリピンの住宅事情:地域や層別の特徴

フィリピンの住宅事情は地域や経済状況により大きく差があります。主に都市部と田舎、そして経済的な層別で考えると、その特徴をより具体的に見ることができます。

都市部では、中間層以上の人々がコンドミニアムや中規模の戸建て住宅に住むことが一般的であり、特にマニラなどの大都市では高層のコンドミニアムが増加しています。一方、貧困層の人々は「スコール」と呼ばれる独自の集合住宅や、簡易的な竹や板を用いた住宅に住んでいます。

田舎では、伝統的な「バハイ・クボ(竹の家)」がよく見られます。これは自然素材を活かした環境に優しい住宅で、風通しが良く涼しいという特徴があります。さらに、各地域によって建築様式や使用素材も異なります。

以下に、地域と層別の住宅事情を表形式にまとめてみました。

地域

貧困層

中間層

富裕層

都市部

スコール/簡易住宅

コンドミニアム/戸建て

高級コンドミニアム/大規模な戸建て

田舎

簡易住宅

バハイ・クボ

バハイ・クボ/改装された伝統的な家

これらの特徴を理解することで、フィリピンの住宅事情のダイナミズムと多様性が見えてくるでしょう。

(2) フィリピンの伝統的な「竹の家」

フィリピンの伝統的な「竹の家」は、その名の通り竹を主材料として建てられます。地元で豊富に取れる竹は、軽くて強度があり、湿度が高い環境でも耐えられる特性を持つため、住宅材料として理想的です。

この竹の家は、「バハイ・クボ(Bahay Kubo)」と呼ばれ、一部では未だに生活の中心となっています。一般的に四角い形状をしており、床は地面から高く作られ、通風と洪水対策になっています。

また、屋根はサトウキビの葉やココナッツの葉で作られ、自然の風を取り込むことで涼しさを保つ工夫がなされています。これらはフィリピンの厳しい自然環境に対応しつつ、自然と共生する伝統的な知恵の表れと言えるでしょう。

2. なぜフィリピンの家はあの形なのか?

(1) 地元の文化と影響

フィリピンの家の形状は、地元の文化と習慣に根ざしています。その多くは「バハイ・クボ」と呼ばれる伝統的な竹製の家で、これは地域の自然環境と素材をフルに利用した結果です。

バハイ・クボは、軽量で風通しの良い竹やヤシの葉で作られ、一年中高温で湿度が高いフィリピンの気候に適応しています。また、大雨や台風から家を守るために、屋根は急勾配に設計され、家自体もしばしば柱の上に建てられています。

このような特徴は、フィリピン人の生活スタイルと密接に結びついています。彼らは自然との調和を重視し、地元の素材を活用することで自然環境への影響を最小限に抑えつつ、家族やコミュニティとの絆を深める空間づくりをしています。

(2) 環境要因(天候、地形、自然資源)

フィリピンの住宅形態は、その地域の天候や地形、利用可能な自然資源に大きく影響されています。

まず、フィリピンは熱帯気候で年間を通して高温多湿なため、家は通風性の良さが求められます。伝統的な竹製の家は、この気候に適応するための設計がなされています。風を通しやすくするために窓が多く、また床が地面から少し高く作られていることで、冷涼感を保つだけでなく洪水からも守ります。

次に地形ですが、フィリピンは山岳地帯も多く、それに対応した斜面地向けの住宅も見られます。また海沿いの地域では、高い柱の上に建てられた高床式の住宅が主流です。これは、洪水や海上からの強風から家を守るための工夫です。

最後に自然資源についてですが、フィリピンは竹やココナッツの木が豊富にあるため、これらを活用した住宅建築が盛んです。これらの素材は、耐久性がありながらも軽く、建設費用を抑えることが可能です。

以上のように、フィリピンの家は、自然環境と密接な関連性を持ちつつ、生活を便利で快適にするための工夫が施されています。

3. フィリピン住宅の種類別詳細

(1) 貧困層の住宅: 特徴と生活状況

フィリピンの貧困層の住宅は、主にバラックやシャンティと呼ばれる簡易的な構造を持つ家です。これらの家は、木材、竹、廃材、果てはゴミまで、手に入るものを使って自力で建てられます。そのため、耐久性に乏しく、天候の激変による被害を受けやすいという課題があります。

また、衛生環境も厳しい面があります。下水設備や給水設備が整っていない場合が多く、生活環境の改善が求められています。

その反面、コミュニティ意識は非常に強く、隣人との連帯感や互助体制が形成されていることも特徴的です。貧困層の住宅事情は、フィリピンの社会問題を象徴する一方で、地域社会の絆を示す一面もあります。

貧困層の住宅と生活状況:

  • 住宅材料:木材、竹、廃材、ゴミ

  • 問題点:耐久性不足、衛生環境改善要

  • コミュニティ:強い連帯感と互助体制

以上のような特徴と課題がフィリピンの貧困層の住宅には存在します。

(2) 中間層の住宅: 特徴と生活状況

フィリピンの中間層の住宅は、比較的新しい建築技術を取り入れ、しっかりとした構造となっています。コンクリート製や石造りのものが多く、まとまった土地に複数の住宅が建てられるケースが多いです。また、ゲート付きのコミュニティ内に位置する家も多く見られ、安全性を確保しています。

生活状況については、都市部だと一部が都市型のライフスタイルを享受しているところもあります。一方で、地方の中間層は伝統的な生活スタイルを保ちつつも、近代化の波を取り入れています。

下記にフィリピンの中間層住宅の特徴を表にまとめてみました。

特徴

説明

構造

コンクリート製や石造り、堅固な構造

位置

ゲート付きコミュニティ内等

生活状況

都市部では都市型ライフスタイル、地方では近代化を取り入れた伝統的生活

(3) 富裕層の住宅: 特徴と生活状況

フィリピンの富裕層が選ぶ住宅には、洗練されたデザインと、生活の便利さを追求した設備が特徴的です。多くが閉鎖的なゲーテッドコミュニティ内に建てられ、24時間のセキュリティが確保されています。

こうした住宅の特徴は以下の表にまとめました。

特徴

詳細

高級な建材

グラニット、大理石、高級木材などが使用される

豪華な設備

プール、ジム、ゴルフコースなどの施設が整備されていることが多い

セキュリティ

24時間の警備体制、専用ゲート、防犯カメラ等が設置されている

また、これらの住宅は通常、専用の家政婦や運転手が雇われるなど、高度なサービスを享受できる生活環境が整っています。これらはフィリピンの富裕層の生活スタイルを象徴するもので、その生活状況を反映しています。

(4) 戸建住宅について

フィリピンの戸建住宅は、一般的にコンクリート製や木造のものが多く見られます。特に中級層以上の家庭では、西洋風のデザインを取り入れた戸建住宅が人気です。

戸建住宅の特徴

説明

建築材料

木材やコンクリートなど地元で手に入る素材が主に使用されています。

デザイン

フィリピン伝統のスタイルと西洋風デザインが融合した形状が一般的です。

広さ

土地が手ごろな価格で手に入る地域では、広々とした敷地に建てられることが多いです。

また、地震や台風などの自然災害に対する耐性を持つため、家はしっかりと土地に固定され、強固な造りとなっています。これらは、フィリピンの戸建住宅の特徴と言えるでしょう。

(5) 高級コンドミニアムについて

近年、フィリピン主要都市では高級コンドミニアムの建設が活発化しています。特に、首都マニラのビジネスエリアでは、豪華な設備とサービスが提供されるタワーレジデンスが立ち並んでいます。

これらのコンドミニアムは、住居だけでなくフィットネスジムやプール、レストランなどの設備が一体となったライフスタイルの提供を目指しています。セキュリティも万全で、24時間の警備体制や専用のエントランスが設けられています。

価格帯は主に1億円以上と、フィリピン国内では非常に高価な部類に入ります。しかし、購入者の大半は海外からの投資家や、現地でビジネスを展開する外国人です。

表1. 高級コンドミニアムの主な特徴

特徴

説明

設備

フィットネスジムやプール、レストラン等が併設

セキュリティ

24時間の警備体制、専用エントランス

価格

一般的には1億円以上

購入者

海外投資家や在フィリピンの外国人ビジネスマンが多い

4. フィリピン住宅の課題と可能性

(1) フィリピンの貧困とゴミ問題が及ぼす影響

フィリピンの住宅事情は、貧困問題とゴミ問題が深く関わっています。特に、貧困層の間では「スカボロ」と呼ばれる簡易的な住居が見られ、これらは廃材や塵芥を利用して建てられます。家の設備は最小限で、衛生状態も良くありません。

また、フィリピンではゴミ処理が課題となっており、その影響は住宅環境にも現れています。不適切に処分されたゴミが溢れ、住宅地や河川を汚染することで、病気の発生や、重大な浸水被害を引き起こすリスクを抱えています。

これらの問題を解決するためには、経済の改善と共に、環境に配慮した廃棄物処理システムの導入が不可欠です。フィリピン政府は現在、住宅改善やゴミ問題の解決に向けた取り組みを進めていますが、その実現には時間とコストがかかるとされています。

(2) フィリピン不動産市場の現状と将来性

フィリピンの不動産市場は、近年、経済の急成長と共に活況を呈しています。特に、中間層の増加と海外からの投資が活発化しており、都市部では新築の一戸建てや高級コンドミニアムの需要が増しています。

しかし、一方で、農村部やスラム地区では依然として住宅事情は厳しい状況にあります。これらの地域では、安全で快適な住宅を確保することが課題となっています。

今後は、経済成長に伴う都市開発が進む一方で、地域間格差の解消や持続可能な都市開発が求められます。また、気候変動への対策も重要となります。

以上のような現状を踏まえた上で、フィリピンの不動産市場は、投資家にとって大きな可能性を秘めています。

5. まとめ:フィリピンの住宅の魅力と今後の展望

フィリピンの住宅の魅力は、地元の文化と環境が交錯したその形状と機能性にあります。独特の屋根形状や竹を利用した建築は、フィリピンの気候と資源を最大限に活かしたもので、これらが作り出す生活空間は親密なコミュニティを育んでいます。

一方で、都市部の貧困層の住宅問題やゴミ問題は深刻な課題となっています。新たな住宅開発が進む一方で、これらの問題を解決するための取り組みも求められています。

今後の展望としては、持続可能な住宅開発やゴミ問題解決に向けた技術・システム導入が期待されています。また、都市部では高級コンドミニアムの開発が盛んで、不動産市場も活性化していくことが予想されます。

結論として、フィリピンの住宅はその多様性と独自性が魅力であり、これらがさらなる発展を遂げるためには社会課題の解決がキーとなるでしょう。


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