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2023年11月30日
1. はじめに
フィリピンといえば白砂のビーチや澄んだ海、美味しい料理などが思い浮かぶかもしれませんが、それだけではありません。フィリピンにはアーニスという独特の武道が存在します。このアーニスは、フィリピンの国技として認定され、その歴史や技術、現代での発展などについて詳しく調べてみると、その魅力に引き込まれることでしょう。また、フィリピンにおけるスポーツシーンでも、アーニスとともにバスケットボールの存在感が見逃せません。それでは、フィリピンの国技アーニスと、その歴史や現代での発展について詳しく見ていきましょう。
2. フィリピン国技アーニスとは?
(1)アーニスの定義
アーニスとは、フィリピンの伝統的な武術で、フィリピン国技としても認定されています。この武術は、主にラタンと呼ばれる硬い木の棒を使って攻防を行います。アーニスはまた、エスクリマやカリとも呼ばれており、フィリピンの地域や流派により名称が異なることが特徴です。
「アーニス」という名前自体はスペイン語の「arnés」から派生したと考えられており、「防具」や「装備」を意味します。これは、戦闘において自己を守るための技術、すなわち「防御術」を強く意識した武術であることを表しています。
以下にアーニスの特徴を簡単に表にまとめます。
名称 | アーニス |
起源 | フィリピン |
使用する道具 | ラタン製の棒 |
その他の名称 | エスクリマ、カリ |
特徴 | 防御術に重きを置く武術 |
以上が、フィリピン国技アーニスの基本的な定義と特徴になります。
(2)アーニスとエスクリマの違い
アーニスとエスクリマは、どちらもフィリピン発祥の武術であり、それぞれ特徴的な技術と歴史を持っています。一見、同じように見えますが、実際にはそれぞれ異なるスタイルを持っています。
まず、"アーニス"は「棒術」を意味し、主に竹製や木製の棒を使った技術が特徴です。一方、"エスクリマ"は「フェンシング」を意味し、剣や短剣に似た武器を用いた技術が主役となります。また、戦闘スタイルも異なり、アーニスは相手と距離をとるのに対し、エスクリマは接近戦を好むのが一般的です。
以下に、それぞれの特徴を表にまとめました。
アーニス | エスクリマ | |
武器 | 竹製や木製の棒 | 剣や短剣 |
戦闘スタイル | 距離をとる | 接近戦 |
このように、アーニスとエスクリマはフィリピンの武術文化を形成する上で、それぞれ異なる役割と特徴を持っています。
3. アーニスの歴史
(1)起源と発展
アーニスの歴史は、フィリピンの古代にまで遡ることができます。もともとは戦闘技術として発展し、現代では武道やスポーツとして楽しまれています。
この技術はフィリピン諸島の各地で独自に進化し、その地域ごとに微妙に異なるスタイルが生まれました。多くの場合、アーニスは世代を超えて家族やコミュニティ内で伝承されてきました。
表1: アーニスの歴史的発展
時期 | 内容 |
古代 | 戦闘技術としての起源 |
スペイン植民地時代 | 影響を受けながら発展 |
20世紀 | スポーツとしての普及開始 |
2009年 | フィリピンの国技として公式認定 |
しかし、スペインの植民地時代には、その武術が禁止されていました。それでも人々は秘密裏に練習を続け、文化的な継承を重んじました。これにより、アーニスはフィリピンのアイデンティティの一部となり、2009年には国技として認定されました。
(2)国技としての認定
フィリピンの国技としてアーニスが認定されたのは比較的新しいことです。具体的には、2009年に「共和国法9850号」が施行されたことで、フィリピンの国技として公式に認定されました。
この法律により、アーニスの普及と発展が促進されるだけでなく、国民の間でのアーニスへの理解と興味も深まりました。特に、学校教育の一部としてアーニスを取り入れることが義務付けられ、フィリピン全土でのアーニスの普及に繋がりました。
年 | 出来事 |
2009 | 「共和国法9850号」施行、国技としてアーニスを公式認定 |
2010以降 | 学校教育にアーニスを取り入れることが義務化 |
これらは、アーニスがフィリピンの文化とアイデンティティの一部として成長し、発展を遂げてきた証と言えるでしょう。
4. アーニスの技術面
(1)基本的な動きと構え
アーニスの基本的な動きは、「打撃」、「突き」、「斬り」の3つが基本となります。これらは、実際の戦闘シーンを想定したもので、相手の攻撃をかわす「回避」や「受け流し」なども含まれます。
また、アーニスの構えには主に二つあり、一つは「オフェンシブ(攻撃的)」で、もう一つは「ディフェンシブ(防御的)」です。
以下にそれぞれの特徴をまとめた表を示します。
構え | 特徴 |
オフェンシブ | 前足を前に出し、体の重心を前に置きつつ、棒(武器)を前方に構えます。攻撃的な動きに適しています。 |
ディフェンシブ | 後足を後ろに引き、体の重心を後ろに置いて、棒(武器)を身体の側面や後方に構えます。防御的な動きや迅速な反撃に適しています。 |
これらの基本動作や構えをマスターすることが、アーニスの技術を磨くための第一歩となります。
(2)使用する武器と装備
アーニスの戦闘スタイルは、特殊な武器と装備の使用に大きく依存しています。主な武器としては、"バストン"と呼ばれる約70~90cmの長さの棒が使用されます。この棒は、竹または堅木から作られ、一対で使われることが多いです。
また、手元を保護するための"ダガ"と呼ばれる小さなナイフを用いることもあります。ダガは実際の戦闘ではなく、訓練やデモンストレーションで使用されます。
装備については、頭部を保護する"ヘルメット"と、身体を守る"ボディアーマー"が主に使用されます。ヘルメットは頭部を直接打撃から守り、ボディアーマーは打撃の衝撃を吸収し、選手の安全を確保します。
これらの武器と装備はアーニスの特徴的な要素であり、技術の習得だけでなく、適切な装備の使用も必要なスキルと言えます。
(3)試合の進行とルール
アーニスの試合は、選手が対戦相手と一対一で戦う形式を取ります。選手はそれぞれ一本または二本のスティックを使用し、攻撃と防御の技術を競います。試合時間は通常3分間で、最もポイントを獲得した選手が勝者となります。
試合におけるポイントの付け方は以下のようになっています。
攻撃部位 | ポイント |
頭部への攻撃 | 2点 |
体幹部への攻撃 | 1点 |
手足への攻撃 | 1点 |
ただし、適切な装備を着用せずに行われる攻撃や、危険な技は使用禁止とされています。また、試合中に選手が無防備な状態になった場合、審判が試合を一時停止して選手の安全を確保します。試合の進行は審判の指示に従い、公平な競技が行われるように厳格に管理されています。
5. フィリピンの国技・バスケットボールとの関係
(1)フィリピンにおけるバスケットボールの人気
フィリピンでは、確かにアーニスが国技とされていますが、日常的に楽しまれているスポーツといえば、間違いなくバスケットボールです。フィリピン国民の間でバスケットボールの人気は非常に高く、都市部から田舎まで、至る所で子どもから大人までがプレイしています。
さらに、フィリピンプロバスケットボールリーグ(PBA)は、この国で最も人気のあるプロスポーツリーグで、観戦者数も多いです。バスケットボール選手たちは国民的スターとして親しまれ、彼らの試合はテレビで盛んに放送されます。
テーブル1: フィリピンにおけるバスケットボールの人気
• 項目 | • 内容 |
• バスケットボール人気度 | • 非常に高い |
• プレイ人口 | • 子供から大人まで広範 |
• プロリーグ | • PBA(フィリピンプロバスケットボールリーグ) |
• テレビ放送 | • 盛ん |
このように、フィリピンにおけるバスケットボールの人気は高く、アーニスとはまた違った形で国民の心をつかんでいます。
(2)アーニスとバスケットボール、どちらが国技?
フィリピンで非常に人気が高いスポーツといえば、バスケットボールを思い浮かべる方も多いでしょう。実際、フィリピンではバスケットボールは広く親しまれ、プロリーグも存在するなど地域に深く根付いています。
しかし、フィリピンの「国技」と公式に認定されているのは、2009年に国技とされた「アーニス」です。アーニスは、フィリピンの伝統的な武術であり、その歴史や文化を反映した重要なスポーツです。
スポーツ | 国技としての認定 |
アーニス | あり(2009年認定) |
バスケットボール | なし(ただし非常に人気あり) |
とはいえ、バスケットボールの人気が高い現状も事実であり、アーニスとバスケットボール、どちらが国技かと問われると、法律上はアーニスですが、国民の間ではバスケットボールもまた、国技と同じくらい親しまれていると言えるでしょう。
6. アーニスの現代での発展
(1)フィリピン国内での地位
アーニスはフィリピン国内で広く認知され、尊重されている武道です。2009年には、「フィリピンの国技法」として正式にフィリピンの国技に認定されました。フィリピンでは、公式な学校教育の一部としてアーニスが取り入れられ、子供たちがこの伝統的な武道を学びます。さらに、フィリピン全土で定期的にアーニスの大会が開かれ、技術の向上と共有がはかられています。
また、警察や軍の訓練でもアーニスが用いられることがあり、その効果性と実用性が認識されています。そのため、アーニスは単なるスポーツや武道だけでなく、フィリピンの文化や社会に深く根ざした存在となっています。
以下の表はフィリピン国内でのアーニスの位置づけを示したものです。
分野 | アーニスの位置づけ |
教育 | 学校教育の一部として実施 |
スポーツ | 国技として大会が開催 |
警察・軍 | 訓練に使用される |
(2)世界への広がり
アーニスはフィリピン国内だけでなく、世界中にその存在を知られています。特にアメリカやヨーロッパでは、自己防衛術として注目されており、アーニスの道場も増えています。
アーニスの技術は、ハリウッド映画のスタントシーンでも用いられてきました。これにより、一部の映画ファンや格闘技愛好家の間でアーニスが注目されるきっかけとなりました。
さらに、アーニスは2009年に発足した世界アーニス連盟(WEKAF)によって、国際的な試合の機会も増え、その普及に一役買っています。
つまり、フィリピン国技であるアーニスは、映画業界やスポーツ界を通じて世界中にその魅力と存在を広めているのです。
7. まとめ
フィリピンの国技アーニスは、その起源から現代に至るまで長い歴史を持つ武道であり、その特徴的な動きや武器使用が国内外で注目を集めています。また、フィリピンではバスケットボールも国民に愛されていますが、国技としての地位はアーニスが占めています。
アーニスの技術面では、基本的な動きと構え、使用する武器と装備、試合の進行とルールなど、独自の要素が多く見られます。近年では、世界への普及も進み、アーニスの地位はますます固まっていると言えます。
これらを踏まえると、フィリピンの国技アーニスは、その発展と共に歴史や文化を形成してきた重要な要素であり、今後もその発展に注目が集まりそうです。